【映像演出】ダーリンインザフランキス第12話の演出解析

通称ダリフラの第12話のAパートに関して分かりやすい演出が多々入っていたので、演出解析をおこなってみる。



■ゼロツーの子供部屋
ゼロツーの子供部屋にはつがいの鳥がつるされている。
ゼロツーは影の中にいて、自ら光の下へ出ることはしないことで、閉塞感や絶望感を表している。

■寝室
彩度の低さで寂しさを表現。
ベッドの骨などが鉄格子のようになっており、囚われていることを表現している。
口を隠すことでストレスや悩みを表現。

一人だけ光の中で起きているため、孤独感を表現している。
目覚めている、救世主(ヒーロー)であるという暗喩。

■廊下
上の空間が開いていることで、子供の弱さを表現。
ヒロだけが本を読んでいることで、周りから浮いている。
知識、知恵を得よう、または既に持っていることを表現。
■子供部屋
ゼロツーがいた部屋は昔使われていた子供部屋だったが、ヒロたちがいる部屋は管理する部屋のため、壁やおもちゃが簡素で幾何学的。
作品を通してゼロツーがおとぎ話の象徴で、パラサイトが科学の象徴である暗示。
イチゴの周りに空間が開いており、孤立している、状況にショックを受けている表現。

寄りのカットで顔をあげることで子供のころのイチゴであることを紹介。

イチゴ「みんな、もうわらわなくなっちゃった。」のセリフと合わせて、ヒロとイチゴがほかの子供たちと別である表現。
二人だけガラスに映っている。

イチゴ「もう怒らないし、泣かない」

イチゴ「わたしだけ涙が出るの」

ヒロが歩いてきて同じ方向を向いて寄り添うことで、イチゴの気持ちに寄り添おうとする表現。
心の距離を近づけようとしている。

前カットのヒロの「名前つけてあげようか」から、バストアップまで寄ることでイチゴの感情の変化や距離感が変わり始める合図になっている。

上を狭くしたの空間を大きくすることで、閉塞感がまだ打ち破れていないことを表現。
引きの絵で、まだイチゴの感情が半信半疑であることを表現。

上方向のPANを入れることで感情や状況が上向くことを表現。

自分のためだけの呼び方をつけてもらえたこと、人と違ってもよいという考え方に衝撃を受けつつ受け入れることをきめたため、最も寄った画(かつ単独の画)になっている。
感情が大きく動いた瞬間。

イチゴが立ち上がることで前向きになった、感情が上向いたことを表現。
立ち上がりに合わせて上向き縦PANすることで閉塞感を打破したことを表現。

ヒロを台の上にのせることで、ほかの子供に比べて上位の存在、救世主的、ヒーロー、強さを表現。

ヒロが子供に名前付けをしているところを止めに来た大人が、ヒロの「どうして名前をつけちゃだめなんですか?」に答えられなかったため、最も引いた絵で、大人もパラサイトも合わせてガラスの向こう側に押し込むことで、さらに上位の存在がすべてを管理していて、大人すら管理されている側である表現。
水族館の水槽や動物園のガラス窓のように見せている。

■礼拝堂?
しゃべっている大人が逆光かつピンボケでヒロの感情に寄り添っていない。

■ゼロツーの部屋
ゼロツーを影に配置することで、感情がふさがっている表現。
窓枠の影が檻の象徴になっている。

■橋の上
階段下手側に子供を配置することで、橋の向こうは死の世界であることを表現。
上下左右がシンメトリーになっており、管理されていることの象徴。

水面に映る反射+モノローグでミツルがラボ送りになることが、暗い出来事であることを表現。
さらに風で水面を波立たせることで、ヒロの感情が波立っていることを表現。

波立つ状態がおさまったところで、心情を吐露するミツル。
隠していた本音を吐露するとき、がらすや水面の反射をつかうことがある。
反射は心の内面を映す。

■廊下(寝室前)
通常より低い場所(瞼ぎりぎり、通常のカットではやらないレイアウト)を撮影することで、感情が沈んでいることを表現。

大人の威圧感を出すためにTUを入れている。
顔の半分に影が入ることで、違和感や正しくない、間違った行動をしているイメージを与えている。
また、ヒロから見て敵のように見える表現。

■廊下(実験室周辺)
ゼロツーの叫び声に気が付いて振り向くヒロのカットからゼロツーの人体実験カットまでにハンディカムの画ブレが入っている。
(この話数ではこのカットまでハンディカムは使われていない。ヒロにとって最も衝撃が大きいため、心の動揺を表している。)

ヒロは光の中、大人は影の中(顔に影がかかっている)にいるため、大人とヒロとの対立構造、距離感、拒絶感を表している。


■外、雪道
足元カットは、のちに登場する立ち止まるカットと対にすることで、心情の変化を表す。
定まっていない心を表すため、歩き続けている。(動いている=定まっていない)

引いた絵でだれも入れないことで一人で歩いていることを表し、ゼロツーやその他様々な疑問を一人で抱えていることを表現。
センターよりキャラの手前側が狭い位置に立たせることで、キャラにストレスがかかっていたり不安な状態にあることを表す。

通常上手側に配置するキャラを下手側に配置することで、ストレスや、不安、不満、不安定感を表す。
顔の一部を隠すことで心が閉じていることを表現。

通常よりも寄っているかつ、若干下手によせている。
ストレスがかかっている状態。大人に対する不満がつのっている。
顔の一部(口元)が画面から切れていることで心が閉じていることを表す。

さらに寄った画でゼロツーのことを思い出す。
ヒロの位置がセンターになることで、大人に対する不平、不満ではなく、ゼロツーのことに気持ちが移る。

ゼロツーの惨状を思い出すカットを挟んだ後、ほっておけない、助けたい感情が高まる。
不安や不満、疑問ではなく助けたいという一つの感情に集約されたため、配置がシモテ空けでカミテ側に寄った配置になっている。

定まっていない心を表すように歩き続けていたが、ここでゼロツーを助けるために引き返し、大人に立ち向かうことを決めたので立ち止まる。
(立ち止まる=定まった状態、決意)

歩いてきた方向に振り向くことで、大人や状況に対し対立する、立ち向かうことを表す。
大人に対する疑問等がなかったときは、首だけ振り向いている。今回は体ごと振り向いているため、明確に対立を表している。

明確に立ち向かう意思を見せているので、前のカットと同様に体全体が研究施設(大人)に向き合っている。
(同じアングル、同じ立ち位置でも、疑問がなかったときは体の向きが半身で対立していない状態)

■ゼロツーの部屋
窓枠が動物園の檻のようなデザイン。
ゼロツーは影の中にいる。よい環境にいないことの表現。

ゼロツーの感情がプラスに傾くため、ヒーロー登場カットのため、上向きのPAN。
ヒロが泣いてゼロツーと手をつなぐという流れは、1話との対の表現。

ゼロツーの感情が絶望から希望に切り替わったため、影の中から光の中へ出ていく。
鏡のに映った蛇口が鳥の翼になっており、比翼の翼の暗示。一枚ずつ羽をもち寄り添う二羽の鳥を表す。

1話でゼロツーがヒロをコクピットにいざなうことで、ヒロの置かれた状況が好転したことと対になったカット。
1話のゼロツーと同じように、ヒロは子供のころゼロツーを助けていた。

以上、演出としてわかりやすいものを抜粋してみた。
細かい演出で感情や状況の変化を補強している。

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