【レイアウト】レンズサイズ調整のワークフロー

CGでカメラのレンズを決める際、「どの数値にしたらよいかわからない。」という人は多いかと思います。
実際に仕事として作業をする上で、判断基準にしていることをまとめてワークフロー化してみました。

①標準レンズのmm数を決める
CGでは良く「35mmが標準である」と言われますが、実際には明確な基準はありません。実写の場合同じミリ数でもカメラが違えば映る範囲が変わるため、カメラによって標準レンズが変わると言っても良かったりします。
そのため、カットごとのレンズサイズを決める前に、標準レンズを決めることにします。Mayaのデフォルトカメラを使う場合、自分は40〜50mmあたりを標準扱いにしていることが多いです。
理由としては、35mmはレイアウトを切るには若干パースが強く、すぐに歪みが出てしまうからと言った点や、CG作品でよく見るレンズサイズ(標準のまま使う人が多い?)であるせいで余計にCGっぽさが出てしまうからといった点が挙げられます。

②絵コンテにレンズ支持があるかないか、確認する
コンテにパース感が分かる絵(極端な広角レンズの絵や、圧縮効果を狙った絵)がか描かれていたり、そのものズバリ「望遠で」「広角で」と指定があった場合はそれに従います。

③レイアウトでのサイズ感はアップ気味か、もしくはフルショットや引きの画か
今回のカットでの被写体のサイズ感でレンズサイズを調整していきます。
実写撮影には、「ワイドショット(引きの画)は広角」「アップは望遠」という定石があります。
これは、アップの画を広角レンズで撮影すると被写体が歪んでしまうためで、CGでもモデリングの際にレンズサイズを大きな値に変更する理由にもつながっています。

また、引きの画を望遠で撮影すると画が平面的になり、ファミコン時代のマリオやロックマンのような映像になってしまいます。

④被写体以外をぼかしたいか、ぼかしたくないか
実写で使われるレンズは広角のほうがピントが合う範囲が広く、望遠のほうがピントが合う範囲が狭いという特性をもっています。

アニメーターやレイアウターがそこまで考える必要があるかは微妙なところですが、広角レンズの画で前景も後景もボケボケの場合リアリティがかなり損なわれると考えて良いでしょう。

⑤被写体は巨大か、比較対象物が手前にあるか
ゴジラやガンダムといった巨大なものを撮る場合、被写体の手前に比較対象物(人や車など)があるかないかを確認します。

比較対象物が手前側にある場合は望遠気味に調整することで、空間の奥側にある巨大な被写体を巨大なまま撮影することができます。ここで、広角レンズを使用するとカメラから遠い被写体が画面の中で小さくなってしまいます。
また、被写体が小さくならないように広角で撮影しようとすると、カメラを被写体に近づける必要があり、画を見た人が「実際にその距離で撮影できるのか」という疑問を持つ可能性があると考えておきましょう。

⑥前のカットのレンズサイズに似ていないか、切り返し(カットバック)のカットか
基本的に編集上隣同士になるカットは似たようなレンズサイズにならないようにします。それは、レンズサイズの変化が少ないと、カットが変わった印象が薄まってしまうためで、カット変りがわかりづらいと不要な違和感が出てしまいます。
ただし、切り返しなどわざとレンズサイズを揃えることもあるのでその際は調整する必要はありません。

上記フローで基本的なカメラのレンズ決めは完了です。
上記以外の「キメカットなのでパースつけたいから広角で」や「偵察中に遠くからみているので望遠で」など演出上のレンズが必要なこともありますので、そのさいは都度別途対応しましょう。

参考リンク
http://kuralab.main.jp/archives/5928
http://camera-beginner.sakura.ne.jp/wp/?p=4732
http://suzumi-ya.com/epub/post-145/

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